以前はGoogle Atmosphereという名称でGoogleの法人向けクラウドサービスのイベントが開催されていたものが、昨年よりGoogle Cloud Nextという名称で開催されるようになって今年で2回目のイベントが、7月24日から26日の3日間、サンフランシスコで開催されました。
当社もG Suiteと連携するサービスを提供するG Suite Technology Premier Partnerとして、昨年に引き続き私とプロダクト部長がこのイベントに参加させて頂きました。
Google Cloud Nextは、Google社がGCPをはじめとした法人向けクラウドサービスの新しい技術やサービスをいの一番に、世間に幅広く紹介するためのイベントです。昨年は1万人ほどの登録だったものが、今年は2.5万人を超える登録者があったそうです(参加者の方に聞いた話ではありますが、Amazon AWSのイベントRe:inventで4万人ぐらいだそうです)が、Google Cloudが昨年にも増して世間の関心が高くなっていることを実感します。
会場はサンフランシスコの中心街にあるモスコーニ・センターという、西海岸にあるIT企業の冠イベントではお馴染みのところで開催されました。恐らくはのべ面積で東京国際フォーラムの数倍の広さはあると思われる会場ですが、大小さまざまな部屋を余すところなく利用し、キーノートをはじめとした大きな発表だけではなく、パートナー企業も含めた多数の展示や、GCPやG Suiteのハンズオンセミナーのようなものも多数開催されていました。
私達は主にキーノートと小規模セミナーを中心に回ったのですが、今年のGoogle Cloud Nextのポイントを、GCPを活用する、主にG Suiteを中心とした法人向けサービスプロバイダーとしての観点で敢えて3つ挙げさせて頂くと:
- 法人のお客様の要求水準に応える(そして超える)サービス改善
- 機械学習、AIのサービス活用の加速
- 開発の生産性向上を目指したさらなる環境整備
というところだったのではと思います。既に日本でも様々なメディアで報じられているところですが、以下個別に少し触れさせて頂きます。
まず法人のお客様の要求水準に応えるサービスレベル改善ですが、G Suiteではセキュリティの強化がいろいろと図られています。クラウドの利用でまずセキュリティ面で課題となるログイン認証ですが、以前からG Suiteでも様々な多要素認証が提供されてきていました。
今回リリースされる物理キーのTitan Security Keyは、物理キーの完全性がGoogleによって保障されるものです。ログインID・パスワードとともに、USBやBluetoothによってPCやスマートフォンなどのデバイスに接続し、認証するこのキーを利用することで、よりログインの安全性を高めることができます。Titan Security Keyは近くGoogle Storeより購入可能になるとのことです。
また、これまでGoogleドライブのファイルのアクセス権限管理は非常に煩雑で、法人ユーザーにとっては管理の悩みの種でしたが、新たにG Suiteのセキュリティセンターに追加される「調査ツール」という機能を利用することで、どのファイルがどのように共有されているかを様々なデータソースにまたがって検索することができるようになり、ファイルとアクセス権の相関関係を可視化したうえで、一括してアクセス権限を変更するなどの操作を行うことができるようになります。
このほか、G Suiteのデータを配置するデータセンターのロケーションを指定できるG Suite data regionsなど、法人のお客様のサービスの信頼性に関する要望に応える改善がなされています。
機械学習、AIのサービス活用の加速、という点では、やはり様々な発表がありましたが、代表的なものとしてContact Center AI(英語)に関する発表を挙げることができます。これはサポート受付など、コールセンター業務の改善に貢献するサービスです。
AIによるお客様からの電話やメールでの問い合わせの自動応答や、AIでの対応が難しい場合に適切な担当者に切り替えた後も、通話内容ややり取りの内容をAIがフォローしながら、お客様の問題解決につながる情報を担当者に提示していくことで、通話中の待ち時間を無くしたり、対応品質を上げるようなソリューションになっています。
最後の開発の生産性向上を目指したさらなる環境整備という点では、ここはGoogleが最も得意とするところということもあって、様々な発表がありました。
Googleはこれまでに、可能な限り早く、性能の高い、安全な様々なインターネットサービスを作り、リリースしていくための技術を作ってきています。
今回、これらに関する新しい技術・サービスの発表がありましたが、その1つとしてCloud Buildがあります。これはGitHubなど様々なレポジトリとつなげてGCP上でビルド、デプロイすることができるサービスです。
実際Stackdriverとこれを利用して、GCP上で性能の低いプログラムコードを検出して、デバッグし、それをビルドしてデプロイするという一連の手順を10分以内に進めるというライブデモなどが行われていました。

日本でも新しいサービス、技術の導入を本質的に忌避する組織がありますが、単純に良い技術を作っても、なかなか受け入れてもらえなかったり、広めていけなかった経験やノウハウを共有してくれる貴重な機会でもありました。組織を進化させるためには、技術だけでは難しく、それに向けた意志と具体的なプロモーション活動が重要ということを改めて認識させてくれました。
来年のGoogle Cloud NEXT19は、2019年の4月9日~4月11日にサンフランシスコで開催とのことです。これに先立ち、今年の9月19,20日には日本でも今回のイベントをフォローする形でGoogle Cloud NEXT ‘18 Tokyoが開催される予定です。当社も「G Suite と rakumo で体現。仕事の 1 週間はこう変わる。個人のパフォーマンスを最大限発揮できる仕組みとは? rakumo の取組みをご紹介」という題目で講演・出展させて頂きますが、興味をお持ち頂けた方はこちらよりお申し込み下さい。
(あとがき)
今回の出張とは直接関係ないのですが、サンノゼで働く旧知の友人と久々に会ったところ、カルフォルニアというとワインだけど、最近はビールのブリュワリー(醸造所)巡りが流行っているんだよ、と教えてもらい、ブリュワリーの1つであるBAREBOTTLE BREWに連れて行ってもらいました。
醸造所では10種のビールの中から4つを選んで試飲出来るようになっているのですが、フルーティーなものから飲みごたえのあるものまで、様々楽しむことが出来ます(軽い食べ物も合わせて提供しているようです)。醸造設備の見えるところで飲むビール、なかなかオツです。
シリコンバレーで財を成した人がワインに投資、という話はよくあるそうですが、最近では地ビールに投資、という話もあるそうです。ワインに代わるサンフランシスコのオフの過ごし方として、醸造所巡りもなかなかいいのではと思った今回の出張でした。
※Google Cloud NEXT '18 TOKYOの当社出展概要につきましてはこちらをご参照ください。